「After Hour Session」はエグゼクティブコーチ株式会社が運営するポッドキャスト番組。
当社従業員がメインパーソナリティを務め、様々なゲストとともに「経営やコーチングの今」をお届けしています。
このブログでは、番組の内容をわかりやすい記事にして紹介します。
第17回は「コーチが語る戦略実行に必要なもの(パートナーコーチ荒賀さん)後編」です。
サマリー
・マネジメント職がフィードバックを得られるようになることが戦略実行力のカギ
・ただのトップダウンではなく、メンバーへの浸透度合いをしっかりと確認し支援しよう
・1人で考えず、周りを巻き込むことで成果が上がる感覚をコーチとともに掴んで欲しい
それでは本編をお楽しみください。
井上:今回もエグゼクティブコーチ代表の出口さんとパートナーコーチの荒賀さんがゲストです。
出口・荒賀:よろしくお願いします。
井上:前回は「実行支援」というテーマで荒賀さんのお考えを伺いました。今回はさらに一歩踏み込んで、実際にクライアントの皆様と向き合う中で感じていらっしゃることをお聞きしていきます。
荒賀さんにはエグゼクティブコーチ社のパートナーコーチとして様々な企業様の実行支援に伴走いただいていますが、クライアントにどんな変化が見られると組織の戦略実行力が上がる兆しを感じられますか?
荒賀:クライアントの皆様とコーチングセッションを行う中では、チームや組織を意識してもらうための問いかけをなるべく沢山するように心がけています。
前回も「マネジメント職が自分だけで考えてしまう傾向にある」というお話しをさせていただきましたが、組織としての実行力を上げるためにはチームや組織を巻き込んでいくことが必須になります。
チームや組織を動かしていくためには、自分が考えていることが「チームや組織にきちんと伝わっているのか?」「自分はチームや組織にどんな影響を与えているのか?」ということについて、自らメンバーにフィードバックをもらいにいくことが重要です。
言葉づかいや話し方を含めた自分の行動・コミュニケーションのあり方などを見つめ直すところから実行支援の土台作りが始まると思っています。フィードバックをきちんともらうことができたら、まずは1つ目の関門クリアだと考えています。こうして組織やチームの巻き込み方を理解したリーダーは、アクションのスピードが上がります。実際のセッションでもよく感じる部分です。
出口:自らフィードバックをもらいにいく、というのが非常に重要だなと思いました。当社との接点を持つ前からすでにこれができている方は全体の中でどのくらいの割合の印象ですか?
荒賀:1割から2割ですね。
出口:そういう方々には何か共通点があるのでしょうか?これまでのキャリアやパーソナリティが影響しているのかもしれないですよね。
荒賀:フィードバックという言葉自体に慣れていない方がすごく多いなと感じます。成果での評価は受けたことがあっても、自分のマネジメントスタイルやコミュニケーションのあり方についてのフィードバックは受けたことのない人が多いようです。
ましてや自分が影響を与えているメンバーからフィードバックを受けるとなると、「どんなことを言われるんだろう?」と怖く感じてしまう方もいらっしゃいます。そこに踏み込んでいくのはなかなか難しいという話をよく聞きます。
出口:フィードバックを自ら取りに行ける人は、それをすることで何かしらが改善されて組織の機動力が上がり、最終的には戦略に沿った組織成果につながるということを無意識に近いかもしれませんが実感しているのでしょうね。
荒賀:そうですね。
メンバーそれぞれ性質も性格も違いますから、行動の取り方も違います。こうした個別のスタイルの違いをしっかりと理解してメンバーを動かすことができるようになると、これより強いものはないと思います。その意識をマネージャーがいかに上げていくのか?というのがキーになります。
出口:戦略実行のポイントは個人に起因するものもあれば組織の仕組みや風土に起因するものもありますが、コーチングにおいては1対1の場なので個人の話になるんですよね。
マネジメント職は戦略の理解と翻訳をする必要があるという話を前回はしましたが、それに加えてステークホルダーをしっかりと巻き込んでいく必要もありますし、そのためには本人も色々と変わらなければいけないからフィードバックを得る必要があるんですね。
アンテナを立てるべきポイントが沢山あって、クライアントの方々も混乱してしまいそうだなと思いました。
荒賀:そうですね。私からは「難しく考えないでください」とお伝えするようにしています。
「フィードバックを取りにいく」と言うと難しく捉えられてしまうので、「コーチとセッションしていたらこんな話になったんだ。自分のマネジメントスタイルを少し見直す時間を取りたいから協力してほしい。」といった伝え方で十分だと思っています。
これで嫌がる人はあまりいないと思いますし、肩肘張らないアプローチでメンバーと話す機会を持ってみるように提案させていただくことがすごく多いですね。
出口:フィードバックをもらいにいくこと以外に、戦略実行において組織の機動力が上がるような変化の兆しを感じるシーンは何かありますか?
荒賀:マネジメントが伝えた戦略をメンバーの方がどう理解しているか?そこにコミュニケーションが発生しているかどうかがポイントですね。
メンバーは上から流れてくる情報を受けるばかりになってしまいがちなので、マネージャーが「現場はどう理解をしているのか?」をきちんとキャッチしているかどうかが大きな差になります。
出口:私たちは戦略実行力強化を掲げて戦略に基づいて「各役割責任者たちがどのように意識・行動を変容していくのか?」という分野を扱っていますが、上から下に矢印が向いているトップダウンの構造を感じやすいメッセージになってしまっている気がしています。
最近ある方に「上から降りてきた戦略に対して、プッシュバックできるような資質や行動力も必要だよね」と言われたことを思い出しました。上の言っていることをただ純粋にやるだけが戦略実行かというとそうではないので、双方向に視野を持たないといけませんね。
荒賀:現場の皆さんが戦略をどう理解をしているのか、それを自分たちの日々の行動にどう反映していくのか、そこをどう支援できるのか。これらを考えるのがやはりマネージャーの役割であり、これは企業理念の浸透とも近い話だなと思います。
井上:ちょうど先日、色々な企業の人事の方をお招きした交流会があったのですが、その中でもパーパスをどう解釈していくのかという話題になりました。
会社から「こういう世界を実現していこう」と下ろしていくのと同時に、社員一人ひとりがそれをどう解釈して自分の行動に落とし込めるかが大事ですよね。社員それぞれの人生のビジョンに即した形でパーパスを伝えていくのも重要なのではないかという話になりました。
戦略もパーパスも、描いたものを実際の行動に移していく際に、落とし込み方や捉え方を管理職とメンバーがお互いに工夫し合いながら進めていくことがすごく大事なんだなと思いました。
井上:戦略実行の最前線に立つリーダーたちに向けて、荒賀さんから一番伝えたいメッセージを何かいただけますか?
荒賀:戦略実行の最前線にいらっしゃるリーダーというのは会社の未来を託された方たちだと思いますし、そういう皆様だからこそ抱える課題や葛藤が沢山あるはずです。私自身も体験してきましたし、多くの例を見聞きしてきました。
その課題や葛藤に一緒に向き合う存在がコーチです。アスリートにコーチがいるように、ビジネスリーダーにも成果を上げるために伴走できるコーチが存在するということを多くの経営者やマネジメントの方々に知っていただきたいです。
「自分だけで考える」という枠組みを一緒に外しませんか?、というのが私からのメッセージになります。
井上:先日のオリンピック報道の中でも、メダルを取った選手とコーチが抱き合って喜んでいるシーンは多く放送されていましたよね。目標に対して伴走するコーチという役割の在り方をすごく感じました。
出口:企業をいかに強くしていくか?最終的な成果をどのようにして上げ続けるか?という問いはすごくシンプルですけど、究極的に答えが出ない永遠の課題でもありますよね。
私たちはコーチングに絞ってこの問いに取り組んでいますので、荒賀さんのような素晴らしい卓越したコーチの皆さんと一緒にどんどんブラッシュアップしていきたいと思います。あるとき正解だったアプローチも、背景が変われば正解ではなくなることがあるはずです。常に研究と探索をしながら、より良い価値提供をしていきたいなと改めて思いました。
荒賀:コーチングをやり始めてからすごく感じるのは、マネージメントは研鑽の連続だということです。茶道・花道・剣道・柔道のような「道」のごとく、達人と言われる人たちもずっと自らを高め続けています。
師匠になった人でもまださらにその上を考えなきゃいけないし、考えていらっしゃいます。究極的には、社長になってもまだ「マネージメントとは何か?」というお題をずっと抱えているのだろうなと感じることが多いです。それに並走する人がいるということだけでも、随分と気持ちがラクになるのではないかなと思っています。
井上:マネージメントにはゴールがなく、どんどん先に道は続いているんですね。どこまで進んでいくのか?誰と歩んでいくのか?というのが大事なんだなと思いました。
荒賀:そう思います。
井上:本日も最後までお聴きいただきありがとうございました。
次回も少し肩の力を抜いてお付き合いください。
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