「After Hour Session」はエグゼクティブコーチ株式会社が運営するポッドキャスト番組。
当社従業員がメインパーソナリティを務め、様々なゲストとともに「経営やコーチングの今」をお届けしています。
このブログでは、番組の内容をわかりやすい記事にして紹介します。
第26回は「印象深かったエグゼクティブコーチングセッション」です。
サマリー
・約20年間のコーチング実績の中から特に印象的だったセッション事例を2つご紹介
・コーチングを通して大きく変化、とある経営幹部がみせた徹底的な振り返り
・時間の使い方はセオリー通りでなくてもOK、たった4分の投げかけが価値を生んだ瞬間
それでは本編をお楽しみください。
井上:今回はビジネスコーチグループ副社長の橋場さんがゲストです。
橋場さんはコンサルティング会社勤務を経て2005年にビジネスコーチ社の創業に参画、現在まで副社長を務めていらっしゃいます。クライアントへのエグゼクティブコーチングの提供・コーチングスクール講師・MBAのコーチング科目にて教壇に立つなど、コーチング界を牽引されています。
橋場さん、本日はよろしくお願いいたします。
橋場:よろしくお願いします。
井上:橋場さんはこれまでに300名以上の方へエグゼクティブコーチングを実施されてきたご実績をお持ちなので、本日はその中でどのようなセッションがあったのかをお伺いします。
まずは300名以上という支援のご実績について、今どのように思われていますか?
橋場:約20年間で300名以上の方々を1対1でご支援させていただきました。1つとして同じケースはなく、経営者や経営幹部の方々が本当に多様な経営課題に向き合っていらっしゃるということを、今振り返ってみても非常に強く感じます。
井上:橋場さんの中で特に印象深かったコーチングセッションがあれば教えてください。
橋場:色々な方の顔が思い浮かびますが、中でも印象深かった事例として2つお話します。1つ目は、大手電気メーカーに勤務する経営幹部の方々への約8ヶ月間のエグゼクティブコーチングプログラムです。
特に印象深かった点は、実際にコーチングを受けてくださった方のコーチングに対する「向き合い方」や「真摯さ」が、非常に大きな成果につながったことです。
井上:向き合い方や姿勢の部分で効果が変わったんですね。具体的なエピソードも伺えますか?
橋場:コーチングを受けた方は元々大企業で役員クラスのポジションにいた方で、部下のマネジメントをする立場でした。
しかし周囲の方々との連携の仕方やコミュニケーションの取り方に課題感があり、「このままでは部下がついてこない」という状況だったために事実上の降格として一旦ラインから外れてコーチングを受けたという経緯でした。
8ヶ月間のエグゼクティブコーチングを経て周囲との連携の仕方やコミュニケーションの取り方が改善され、スコアでも大きな変化が出ました。その成果は社長の耳にも届き、半年から1年弱経った頃にその方は再び大きな組織を束ねるポジションに復帰されました。
井上:真摯な姿勢でコーチングに向き合われていらっしゃったということですが、どんなところが他の方と異なっていたのですか?
橋場:スタート当時、この方には周囲との連携における課題が強く指摘されていて、コミュニケーションの取り方に関してもかなり厳しいフィードバックが寄せられていました。そのような耳の痛いフィードバックにはまともに向き合えない方もいますし、「私は悪くない」という自己防衛本能が働いてしまい「周りが悪いんだ」と他責にしてしまう方も一定数いらっしゃいます。
その方も最初にフィードバックを受けた時はかなりショックでしたでしょうし、感情的にも穏やかではなかっただろうと思います。しかし「せっかく会社が私に投資をしてエグゼクティブコーチングに参加させてもらうのだから、成果が上がるように取り組みたいです」と、プログラムスタート時点から非常に前向きでした。
真摯さを一番感じた場面としては、8ヶ月間のプログラムで全12回のコーチングセッションがあったのですが、セッションとセッションの間に毎週欠かさずその期間で取り組んだことや振り返りを共有していただきました。私もすかさずそこに対して返信していくというのを、ほぼ32週間ずっとやり続けたんです。
さらにすごかったのは、コーチングが終わった後にも同じ仕組みで振り返りを続けていらっしゃることです。コーチングプログラムの期間が終わるとリバウンド現象のように意識や行動が元に戻ってしまう方もいらっしゃいますが、その方は毎週真剣に振り返りを送り続けてくださいました。
本人が高いコミットメントを持って取り組んでいるほど、成果にも繋がるんだなというのを本当に実感しました。
井上:経営に近い立場になると周りからのフィードバックをなかなか素直に受け入れられないこともきっと多いですよね。周りの声を受け止め、会社から与えられたコーチングという機会に真摯に向き合い、着実に変化して再び役職に就かれたという事例は本当に素晴らしいですね。
橋場:コーチの力というよりはクライアントの方が真剣に取り組んだことによるところが大きかったと感じています。
井上:もう1つの印象に残っているセッションについても聞かせてください。
橋場:大企業の社長に対する約1年半のエグゼクティブコーチングプログラムが印象に残っています。コーチングに期待することはクライアントの方によって様々ですし、時間の提供の仕方も人それぞれで良いのだなと感じた事例です。
当社のコーチングは1回あたり大体1時間ほどなのですが、あるセッションの時にクライアントの方が56〜57分くらいお話をされて私が話したのは3〜4分ぐらいだけだったんです。私の発言は、4つか5つぐらいのキーになる問いを投げかけただけでした。
セッションが終了すると社長は「今日かなり色々なことが解決しました」「自分の中で結構ストーリーが見えてきました」とおっしゃって、今月や来月にやることを決めることができている様子でした。
通常のセオリーからは外れた時間の使い方でしたが、コーチングを受けるクライアントの方にとって意味があるか?有益な時間なのか?はとても大事なポイントです。時間は僅かでしたが私の投げかけた4つか5つの質問に対して深く考え、自ら答えを出してストーリーを組み上げることができた点に非常に価値を感じていただけたようです。
経営者の方は常に同時並行で色々な経営課題に向き合っていらっしゃるので、必ずしも教科書通りのコーチングステップを望んでいるとは限りません。その方の問題意識に合わせたり相手が今求めているアプローチを提供するために、コーチはどのように引き出しを開けていけばいいのか?を非常に考えさせられた事例でした。
井上:ほとんどの時間をクライアントがお話をされて、橋場さんはいくつかの問いを投げかけただけの1時間。それであれこれと解決策の道筋が見えてきたというのはすごいことですね。
橋場:通常だとコーチが「何か価値を提供しなければいけない」と思ってしまい、色々な提案や不必要なアドバイスをしてしまいそうな場面ですよね。恐らくそれを行なったら満足度は非常に下がってしまっていたでしょうし、社長自身が色々なアイデアを浮かべることができなかったのではないかなと思います。
その社長は非常に優秀な方だったので、1つの質問やきっかけを提供するだけでものすごい高速回転で考えて色々な答えを出せるような方でした。テンポなども含めて、社長の中でどんどん話が盛り上がっていくような流れを作れた1時間だったなと、当時の光景を思い出します。
井上:橋場さんはセッションの冒頭から「このクライアントはこういうスイッチが入っている」「こういうモードだな」というのを感じることができるのですか?
橋場:最初から分かっていたわけではなくて、1つ2つ問いを投げかけた時に相手の中で色々な方向にアイデアが広がっていく様子が感じられて、私はアシスト役に徹しようと決めました。社長がどんどんクリエイティブに話を展開していくので、その日のコンディションやタイプなどを前半10〜15分くらいで見極めた感じです。
井上:そうなんですね。
橋場:60分のうちのほとんどを社長が喋っていた回はその1回きりなんです。セッションは全部で十数回あるので、他のセッションでは私が話す時間ももっとありました。1回だけそういう日があったという意味でも、非常に印象に残っています。
井上:コーチングと向き合う姿勢が大きな効果を生んだ事例、そしてクライアントの状況次第でコーチングの提供内容やコーチの伴走方法も大きく変わるという事例、貴重なお話をありがとうございました。
橋場:こうしてお話をすることで、改めてコーチングで成果を出すためのポイントを言語化できました。クライアントの参加姿勢もポイントですし、クライアントに気持ちよくストーリーを話してもらうことも非常に重要な価値の1つだなと思いました。
井上:もっとお話をお伺いしたいので、次回も引き続きご出演よろしくお願いします。
本日も最後までお聴きいただきありがとうございました。
次回も少し肩の力を抜いてお付き合いください。
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