「After Hour Session」はエグゼクティブコーチ株式会社が運営するポッドキャスト番組。
当社従業員がメインパーソナリティを務め、様々なゲストとともに「経営やコーチングの今」をお届けしています。
このブログでは、番組の内容をわかりやすい記事にして紹介します。
第27回は「エグゼクティブコーチとしてのキャリアの変遷」です。
サマリー
・300名以上にエグゼクティブコーチを提供してきた20年間のキャリアを振り返る
・若造だった30代、経験の浅い時期に失敗して学んだエグゼクティブとの向き合い方
・コーチングを活用するエグゼクティブや次世代を担うコーチを増やして行きたい
それでは本編をお楽しみください。
井上:今回もビジネスコーチグループ副社長の橋場さんにお越しいただいています。前回は300名以上へのエグゼクティブコーチングの実績がある橋場さんに、その中でも印象深かったセッションを2つ伺いました。本日は橋場さんのエグゼクティブコーチとしてのキャリアの変遷についてお話を聞いていきます。
橋場:よろしくお願いします。
井上:まずは橋場さんがコーチングに出会ったきっかけから是非教えて下さい。
橋場:大学を卒業した後に新卒でコンサルティング会社へ入社し6年3ヶ月ほど働きました。ちょうど30歳になろうかという時に「もっと自分がワクワクできるような仕事に取り組みたい」と思い退職したのですが、その時点ではまだコーチングでキャリアを積んでいくとは決めておらず、色々な可能性を模索している状況でした。
コンサルティングの仕事は基本的にはシステムや業務プロセスを変えて生産性を上げるのが主軸ですが、「もっと人に対してアプローチをして生産性や業績向上に貢献できないか?」と考えていたことが1つのきっかけだったように思います。
その時に目に飛び込んできたのがビジネス領域におけるコーチングです。すでに欧米ではビジネスコーチングが取り入れられているという新聞記事を2000年代の前半に目にして興味が湧きました。
コーチングというとスポーツの世界にしかないような概念だったと思いますが、それがビジネスの世界でもすでに取り入れられていることを知り、実際にはどういうことが行われているのかを知りたいと思いました。
そこからいろいろ調べていく中で、日本ではまだあまり取り入れられていない取り組みだと感じたのですが、理屈よりも先に自分が体験してみたい・やってみたいという感情がすごく湧いてきました。そこから本当にコーチングに興味を持ち始めて、今に至っています。
井上:人に対してアプローチできることはないかと探されている中で新聞記事と出会いその瞬間から心惹かれるものがあったというのは、運命の出会いだったのかもしれませんね。
橋場:そうですね。コーチングにはいろいろなアプローチがあると思いますが、一言で言うと「相手から引き出す」という点がキーワードかなと思います。
私がそれまでに取り組んでいたコンサルティングは、どちらかというとコンサルタント側から処方箋を出したり解決策を提示したりする仕事です。コーチングはコンサルティングとは真逆のアプローチなので、それが世の中でそれなりの規模で広がっていることを知った時は驚きと衝撃がありましたね。
井上:そこから20年の時を経て、今となっては日本を代表するような企業様の経営層もお相手にするエグゼクティブコーチとして活躍されていまが、これまでに失敗や挫折のご経験はありますか?
橋場:今もそうですし、挫折も失敗も沢山あります。30代前半からビジネスコーチングに取り組み始めたわけですが、最初からいきなり経営者やエグゼクティブの方々に対して30代そこそこの若造がコーチングをさせてもらえるわけがないとは分かっていました。
最初はある程度実績を積まないと難しいと思い、いきなりエグゼクティブの方ということではなく中堅中小企業・ミドル層・ジュニア層の若手の方など、コーチングのご依頼をいただければ積極的にお受けしていました。
井上:エグゼクティブの方々と向き合い始めるようなったのはいつ頃からですか?
橋場:ビジネスコーチ社が2005年に立ち上がって、創業7〜8年くらいのタイミングである程度実績ができてきました。その頃から大手有名企業でのご支援事例をようやく出せるようになり、徐々に経営者や経営幹部の方々へのエグゼクティブコーチングの依頼が増えていきました。
大した実績もうまくやれる自信もなかった時期には、それでもせっかく経営者の方へのご支援機会をいただけるということならばと、ある種のハッタリと言いますか、「やります!」「成果を出します!」という姿勢でお引き受けしました。
上手くいくこともあればう上手くいかないこともありましたが、それを繰り返してエグゼクティブに対する向き合い方を現場で泥臭く学んでいった部分が非常に大きいです。
井上:自信がない状態であっても、まずは「やります!」とクライアントに向き合い、その中で橋場さんご自身も悩みながらセッションを提供されていたのですね。
橋場:そうですね。
井上:苦しかったり、コーチとして迷った時期などはありましたか?
橋場:色々なケースがありますが、「事実をそのまま伝えれば良いというものではない」「理屈で全てを片付ければ良いわけではない」ということは沢山学びました。エグゼクティブや経営者の方々もあくまで1人の人間なので、寄り添ったり相手を応援するマインドがベースにないと決して上手くいかないんです。
エグゼクティブコーチングを始めて間もない頃に、とある大手総合商社の役員クラスの方々へコーチングをする機会がありました。今と同じようにコーチング開始前と実施後に周囲の方からの360度フィードバックを行っていたのですが、事後のヒアリングでかなり厳しいネガティブな意見が寄せらてしまった方がいました。
当時の私は経験値が少なかったので、匿名性は担保していたものの周囲の方々の言葉をほぼそのままの形でご本人にフィードバックしてしまいました。するとその方は非常に怒ってしまい、「こんなこと言っているやつは誰だ?!」と感情的になられてしまったのです。
まさかそこまで感情的に反応されるとは想像がついておらず、その場では「申し訳ありません」と謝ることしかできず心を閉ざされてしまいました。少し冷却期間を置いてから改めてお詫びとご挨拶に伺ったことで最終的にはご理解をいただいたのですが、このケースで学んだことは大きいです。
エグゼクティブコーチングの成果を伝える際に360度フィードバックの結果をご本人にお伝えするのですが、コーチ側がその結果に対して相手がどういう感情を抱くのか・どう受け止めるのかを想像力を働かせて理解しないと、相手を傷つける武器になってしまいます。
必要以上に傷つけても何の意味もありません。今であればもう少しご本人が受け取りやすい形でフィードバックを伝えられたと思いますが、当時は経験不足で、私の伝え方が悪く相手を傷つけてしまい非常に反省しました。本当にしくじってしまったなと、今でも思い出します。
その経験があったからこそ、今はフィードバックの仕方に細心の注意を払えます。レポートを何度も読み返し「これを本人が初めて見た時にどう感じるか?」を想像しながらご本人へお伝えするようになりました。
井上:エグゼクティブの方であっても人としての感情をお持ちなので、コーチは相手がどう受け止めるかまで思いを馳せながら向き合うことが必要なんですね。
橋場:まさにそれを痛感した事例でした。
井上:もう一つお伺いしたいのですが、橋場さんは今後コーチとしてどういう姿を目指していきたい・どんな姿でありたいと考えていらっしゃいますか?
橋場:30代や40代であれば「こういうエグゼクティブコーチになりたい」ということが前面に出ていたかもしれません。20年以上のキャリアを積んだ今は、次の世代のエグゼクティブコーチを増やしたい・仲間を増やしたいという思いが強くなっています。
実際にエグゼクティブコーチを育成するプログラムも新しく立ち上げますし、「自分が自分が」という思いは今はほぼありません。エグゼクティブコーチングをうまく活用していただける方々を広げていきたい、そういったことにすごく意識が向いています。
井上:これからの新しいコーチを育てたり仲間を増やすことに思いを向けていらっしゃるのですね。新しいコーチングのプログラムも始まるとのことですので、それについてもまた改めてどこかの回でお話をお伺いできればと思います。
橋場:ぜひお願いします。
井上:今回も貴重なお話をありがとうございました。
本日も最後までお聴きいただきありがとうございました。
次回も少し肩の力を抜いてお付き合いください。
番組はご利用のポッドキャストサービスでお聴きいただけます。
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