「After Hour Session」はエグゼクティブコーチ株式会社が運営するポッドキャスト番組。
当社従業員がメインパーソナリティを務め、様々なゲストとともに「経営やコーチングの今」をお届けしています。
このブログでは、番組の内容をわかりやすい記事にして紹介します。
第15回は「大課長という警鐘」です。
サマリー
・本当の役割を理解しないまま昇進だけしてしまった時に訪れる悲劇
・新たなミッションに沿った行動ができるようになるには、育成と伴走支援が重要
・部長を孤立させず、次世代の経営者候補としてしっかりと投資をしよう
それでは本編をお楽しみください。
井上:今回はエグゼクティブコーチ社のアカウントマネジメント部部長、佐野さんがゲストです。「大課長という警鐘」というテーマでお話を伺うのですが、「大課長」というのはどういう意味ですか?
佐野:「大課長」という呼び方は、部長なのに「気の利いた課長」のような振る舞いをする方が該当します。お客様とお話している際に、この大課長というフレーズが心に突き刺さる方が多くて、私自身も部長という立場ですが自戒を込めてご紹介しようと思います。
とあるお客様の事例です。新規事業の執行役員のポジションが空いた際に部長の中からアサインをしていたのですが、執行役員にできる部長層の育成に取り組めていないということがありました。
なのでまずは一番成績を上げていて部長としての経歴の長い方をアサインしたそうなのですが、暫くしてその方の仕事ぶりを見ていた管掌役員の方から「まるで大課長のようだ」と人事へフィードバックが届きました。
井上:うんうん。
佐野:本来の執行役員は中長期の事業目標やビジョンを掲げるものですが、その方は部長の当時に中長期の部門戦略や人材育成の計画を立てた経験がなかったそうです。課長の延長線上のような形で、課長の手の届かない部分の補佐やメンバーの一人一人のマネジメントを代わりにやるのが習い性になってました。
部門長の役割を実際には担えていなかったというのが、執行役員への着任後に明らかになったというお話です。人事側は役員からのフィードバックを受けて、執行役員になり得る人材のプールを作らなくてはいけないと、施策に力を入れるようになりました。
その会社における部門長は部門の経営者のような存在で、3年後・5年後・10年後を見据えた中期経営計画から逆算して部門の中長期戦略やビジョンを描くのが役割です。課長というのは3年後などの中期よりは短期(今年)の成果を上げるためにメンバー育成やチームビルディングを行う役割でした。
やはり中長期の展望やサクセッションプランを描けるようにならないことには、その次の執行役員というポジションへは上がれないということを痛感する事例だなと思います。部長は「大課長」であってはいけないという教訓を学びました。
佐野:課長が「大メンバー」になっていることも結構あるのではないかな?と思っています。例えば営業の部署でトップセールスだった方が課長になり、元々の実力を武器に案件を取ってくるようなケースが最近増えています。
ただ、課長はメンバー1人ひとりの力を100%・150%・200%へ伸ばすにはどうしたらいいか?を考えるのが役割のはず。自分自身の100%の力を出したところでメンバーの力は伸びません。
自分の役割をしっかりと理解することがまず必要だと思うのですが、課長の働きぶりを見ている人はきっと近くにいるんです。部長もそうですし、現場を注視している役員も「あまりプレイヤーをやっていてはいけないよ」と言ってくれるはずです。
現場が活性化しない限り売上も利益も上がらないので新規事業は立ち上がりません。なので部長や役員は現場をしっかり見ているんです。
井上:なるほど。
佐野:ただ、部長というのは課長と役員に挟まれた中間地帯なんですよね。なので部長の役割をやらなくても現場の頑張り次第では成果が上がる立ち位置だったりもするんです。中長期経過しないと「部門が成長しているかどうか?」というのはあまりわからないというカラクリがあります。
部長層の育成というのは議論の中心になることが少なかったのではないかという仮説を私は持っているので、視聴者の皆さんにも考えを聞いてみたいなと思っています。
井上:「大課長」「大メンバー」という言葉が出てきましたが、本来の役割に到達できないまま今までの自分のパフォーマンスを高めるだけになってしまっているということですよね。そして役職が上がってから初めて「おっと!これはまずいぞ」と、問題に気付くのですね。
佐野:そうなんです。
最近では人的資本経営の文脈で様々な会社がサクセッションプランをしっかりと組み立てようと動いているのを肌で感じます。部長が「次の世代の役員」だということを意識して、しっかりと教育投資をするのが重要だなと思っています。
井上:会社から課長の役割や部長の役割を伝えたとして、それを自分の役割として実行できる人はどのくらいいるのでしょうか?
佐野:どうでしょうね。2:6:2の法則というのもありますが、上位2割くらいの人は役割が変わったときのための準備ができている気がします。部長と課長の違いを自分でちゃんと分析ができている人は、部長になった瞬間にその役割を果たそうとします。そういう人たちは放っておいても大丈夫だと思います。
ただ、マネジメントを深く理解しないまま課長としては高い実績をあげていたような方の場合、部長に上がった時に「何をする役割なんだっけ?」となってしまいがちです。頭でなんとなくわかったつもりでも、実際には理解できていないケースが多いと思います。
そうした方々が自分の強みを生かすことだけに走ってしまって、本来変えなきゃいけない行動を変えられないといったお話をお客様からよく聞きます。
井上:そういったお悩みには、佐野さんはどんな回答や提案をされているんですか?
佐野:部門長がやるべきビジョン作りや戦略作り・それらの浸透・組織としてのサクセッションプランの立て方などは、研修でフレームワークを提供したり知識をつけていただくことが可能です。ただ、実際には限度があって、研修後に実際にそれをやるかやらないかがもっと重要です。
先ほども言ったとおり、部長は「それをやらなくても生きていける」構造の中にいるということに着目しないといけません。なので「やらないと3年後の部門がなくなる」という危機感をしっかりと持ってもらえるようにマインドを変えていく必要があります。
そのために、研修だけで補えない部分を私たちみたいなコーチング会社が伴走するのも手段の一つです。
井上:一斉研修で「じゃあよろしくね」と言ったところで、それをどう受け取って自分の行動に紐付けるかは人それぞれになってしまいますもんね。
部長層に本来の役割を全うしていただいて会社や事業の成長に繋げていくには、1人ひとりに合わせたコーチングによる伴走で後押しする体制が効果を出せそうですね。
佐野:マネジメントには色々な階層がありますが、課長から部長へのトランスフォーメーションが一番やりにくいところではないかと考えています。
部長から役員も管掌する範囲がものすごく大きくなる点で難しさはありますが、部門長も沢山の課を抱える部門の経営という意味で1人では乗り越えるのが難しい領域だと思います。社内メンター制度などがよくありますが、そうしたものも含めて誰かが支援できる体制が必要ですね。
井上:社内外のメンターやコーチと共に、新たな役割を引き受けた人がひとりぼっちにならないような支援をしていきたいですね。
佐野:視聴者さんのご意見も聞いてみたいので、何かあれば是非コメント等をいただきたいですね。
井上:部長の役割について困っているご本人もそうですし、そうした方を支援している人事や経営層の方々にもお聴きいただいているので、皆さんの事例や考えも是非聞いてみてたいですね。
佐野:お待ちしております!
井上:本日も最後までお聴きいただきありがとうございました。
次回も少し肩の力を抜いてお付き合いください。
番組はご利用のポッドキャストサービスでお聴きいただけます。
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