「After Hour Session」はエグゼクティブコーチ株式会社が運営するポッドキャスト番組。
当社従業員がメインパーソナリティを務め、様々なゲストとともに「経営やコーチングの今」をお届けしています。
このブログでは、番組の内容をわかりやすい記事にして紹介します。
第24回は「スキルベースの人事制度を通じた戦略実行力強化」です。
サマリー
・ジョブ型人事を導入しても、曖昧な運用では旧来の人事制度から脱却しきれない
・ジョブの言語化とともに、そのジョブを果たすために必要なスキルも可視化が必要
・スキルを媒介としてジョブと人材のギャップを埋めることが、人材育成に繋がる
それでは本編をお楽しみください。
井上:今回はスペシャルゲストとして株式会社Job-Us代表の馬渕太一さんにお越しいただき、エグゼクティブコーチ社代表の出口さんと共に「スキルベースの人事制度を通じた戦力実行力強化」をテーマにお話しします。
馬渕さん、出口さん、今日はよろしくお願いいたします。
馬渕・出口:よろしくお願いいたします。
井上:馬渕さんは京都大学経済学部経済経営学科をご卒業後、三井物産株式会社にて化学品関連の貿易ビジネスをご担当。その後経営コンサルティングファームのATカーニー株式会社にて事業戦略・組織戦略立案などのプロジェクトに従事、2020年7月に株式会社Job-Usを創業されています。
株式会社Job-Usではジョブ型人事の実装を支援していらっしゃるとのことですが、具体的にどのような活動をされているのですか?
馬渕:Job-UsはAIを活用して、日本企業のジョブ型人事実装をサポートするサービスを展開しています。
日本では数年前からジョブ型人事を導入する企業が増え、現在は制度を数年前に入れたもののその後運用の壁にぶつかっている段階の企業が多い状況です。それに対して、AIやテクノロジーを活用して実際の運用を回していく部分の実装を後押ししている会社です。
井上:数年前から日本国内の企業でも少しずつジョブ型人事を導入する企業が出てきて、人事に携わる人間としても耳にする機会が本当に増えたなと感じています。
ジョブ型人事の実装においては、どんな課題感に皆さん困っていらっしゃるのですか?
馬渕:課題は大きく2つあります。まず1つ目が、ジョブ型人事を実装したと言いつつも、実態としては今までの年功序列的な運用や、いわゆる勘と経験による人事がまだ根強く残ってしまっていることです。
ジョブ型人事というのは、本来であればジョブをベースに給与が決まり、ジョブをベースに配置が決まり、ジョブをベースに評価される制度です。しかし実態はそうなっておらず、ジョブと各人事制度や人事施策が繋がっていない状況があります。
その原因はどこにあるのか?というのが2つ目の課題に繋がるのですが、ジョブディスクリプションと呼ばれるジョブの定義が各施策に使えるものになっていないことが挙げられます。
ジョブとジョブディスクリプションの2つが繋がらないことで、結果的に実態としてのジョブ型人事の仕組みが確立されないという課題があります。
井上:ジョブ型人事をいざやってみようとしても、昔からの制度や施策がまだ根強く残っていて連動されていない、そもそもジョブをどう定義したらいいのかわからない、といった悩みがあるのですね。
馬渕:そうですね。そもそも日本ではジョブの概念自体にまだ馴染みがないので、そこが曖昧になってしまっているために運用まで落とし込めていない企業が多いです。
井上:ジョブ型人事を実装できることは、その会社にとってどんなメリットがあるのですか?
馬渕:本来ジョブというのは、会社の事業戦略や経営戦略が組織の戦略に落とし込まれた上で、さらにポジションや個人ごとに細分化して落とし込んだものであるべきです。
会社が目指す状態や戦略と紐付き、それに基づく処遇が用意され当てはまる人材を配置したり採用をして、ジョブを果たしているかどうかによって評価する仕組みがジョブ型人事です。
経営戦略や事業戦略がトップダウンで決まっていても、個人が何をするかは上司との間でボトムアップの目標設定が行われているような場合、戦略と現場での実行には乖離が生まれてしまいます。戦略と現場を結びつけるためにジョブを定義しましょう、というのがJob-Usの考え方です。
出口:Job-Usのツールを入れるだけで変わるということではないと思いますが、最近のご支援実績で実際に変化が見え始めた企業の事例があれば是非聞いてみたいです。
馬渕:野村不動産パートナーズという不動産系の会社では、事業戦略をしっかりとジョブに落とし込み、それをベースにサクセッションプランニングや1on1に繋げています。さらに個人のスキルの見える化にも取り組んでおり、同時にジョブ側で求められるスキルも可視化されています。
それぞれのスキルを結びつけることで、その人が担っているジョブをより高度に果たすためにはどういったスキルを伸ばしていく必要があるのか?もう一個上のジョブを果たすためにはどういったスキルを伸ばしていく必要があるのか?について1on1で支援できるようになっています。
出口:戦略から落とし込んで各ポジションの要件やジョブを言語化していくのですね。作るのに労力がかかるので、出来上がって腑に落ちたら放置されてしまうというのが世の中の色々なツールであるあるだと思うのですが、どうでしょうか?
Job-Usを普段使いできている会社では現場への接続までうまく浸透が進んでいますか?
馬渕:そのような課題は実際にあります。今は世の中の変化も早いので、事業戦略もどんどん転換していきます。戦略が隅々までブレないようにするためには、ジョブのアップデートが必要です。
しかし現場の方々も実務が忙しくそこまで手が回らないという課題に対して、Job-UsではAIが戦略や上位ポジションの情報を集約し各ポジションに対してアップデートする部分を補助してくれるようになっています。
出口:戦略から落とし込みジョブを言語化して運用に乗せていくことが定着した後には、どのような壁があるのでしょうか?これからジョブ型人事に移行していこうとしている企業にとっても、今後どのような道筋を辿っていくのか?は気になるポイントかなと思います。
馬渕:ジョブ型人事を導入された企業ではまず処遇面について旧来の年功序列型から職務の価値ベースの考え方に変えることから取り組むことが多いです。その仕組みが整ってから、配置や育成などの人材マネジメントの方に移行していきます。
野村不動産パートナーズさんの事例にもあったようなスキルベースの人事制度というのは、ジョブ型人事1.5・ジョブ型人事2.0といった概念で語られます。
ジョブ側で求められるスキルは何か?そのスキルを果たせる人材がどこにいるのか?どうやって育てていくのか?といった面で、ジョブに求められるスキルを明示した上で配置や育成に活かしていく流れになっています。
出口:我々は戦略実行に対してコーチングという切り口からアプローチしていますが、馬渕さんのお話を聞いてジョブや保有しておくべきスキルといった前提情報をしっかりと抑えながら支援していかないといけないなと感じました。
コーチングにおいても、クライアントは満足しても投資側のオーナーが「これ成果あったんだっけ?」となってしまうケースはよく耳にするんです。
馬渕:スキルを媒介にジョブと人材のギャップを埋めていくのもそうですし、もう少し経営目線に引いて会社全体で求められているスキルとそれに対する人材のスキル充足度を可視化すると、全社の育成施策や採用戦略に繋げることもできます。
まさに経営戦略と人事戦略を連動させていけるようになるので、To BeとAs Isを可視化してギャップを埋めていくような高度な取り組みができると思います。
出口:Job-Usでは各社の中期経営計画や事業戦略に沿って必要なスキル群が個別具体的なものも含めて推測されるんですよね?
馬渕:そうです。ジョブを果たすためにどういったスキルが求められるのかを、AIを使って体系化しています。
出口:Job-Usを導入するとかなり施策が的確になるので、投資の狙いがクリアですね。
馬渕:人材側の情報の可視化は各社でこれまでも取り組まれていましたが、会社が目指す方向性に対して必要な人材要件を定義することはあまり行われていませんでした。そこが日本企業の課題だったので、スキルを媒介に人材要件の元となるジョブを可視化していくことは重要かなと思っています。
井上:私は人事として「どう成長していくのか?」といった言葉を投げかける立場でもありますが、「成長って何?」と疑問符が沸く場面も時々ありました。
Job-Usではスキルを明確にして「このポジションで求められていることはこれだよ」と具体的に示してくれるので、会社の目指す先が見える化されて組織の中で浸透していくことでメンバーのスキルも上がり企業としての実行力が伴っていくのですね。
馬渕さん、今日はありがとうございました。
馬渕:こちらこそありがとうございました。
井上:本日も最後までお聴きいただきありがとうございました。
次回も少し肩の力を抜いてお付き合いください。
番組はご利用のポッドキャストサービスでお聴きいただけます。
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